初代当主、大風 嵐(おおかぜ あらし)と第一子蝶(ちょう)


彼は普段は温厚で優しい父親ですが、鬼を前にすると豹変します。
家族への憧れが人一倍強い嵐は大江山での惨劇を受け止めることができず、
ずっと夢の中の家族と過ごしてきました。

そこには源太にお輪、龍と蝶という2人の弟妹達と仲良く暮らしていましたが、
成長するに従い、大江山の惨劇を夢に見るようになっていきました。


そんなある日、源太の後を追って盗賊狩りに山へ登った嵐の前に
死体から蛍を引き寄せる美しい、不思議な女性を目にします。
女性はそれに気がつくと、幽霊のように消えていきました。

その時、鳥の羽ばたきとともにみすぼらしい布を纏った少女が走ってきました。
少女は盗賊に追われていましたが、嵐は難なく撃退。
少女は蛍と名乗り、死体から刀などを盗んでいた所を盗賊に見つかり、
それを狙った盗賊から命からがら逃げてきたと言うのです。
嵐は身寄りのないその少女を匿うために家へ招待します。

そこで泥を落とし、綺麗な浴衣姿に変身した蛍を見て嵐は山で
見た美しい不思議な女性と瓜二つだという事に気がつきました。
意気投合した二人は次第に惹かれあっていきます。


しかしその日を境に嵐の悪夢は頻繁に彼を襲うようになります。
ある日、山へ山菜を採りにでかけた嵐、蛍、龍、蝶は嵐の夢には存在しないはずの
巨大な赤い鬼に遭遇します。

その身は岩のように固く。嵐はその身を犠牲にし、
蛍と弟妹達を救おうとしますが、
それを阻止しようと弟妹達は真っ向から勝負を挑み、殺されてしまうのです。

そして膝を落とす嵐を守ろうとした蛍もまた息絶えてしまうのであります。
その時、嵐はすべてを悟り、怒りに任せて鬼を倒します。


意気消沈した嵐の前に死んだはずの蛍の体から山で見た美しいあの女性が現れました。
彼女は魂寄せのお蛍と名乗り、悲しそうに弟妹達の亡骸から蛍を引き寄せました。
嵐は復讐を決意し、利用できるなら神でも死神でもいいと
当主の指輪を受け取り、大風家初代当主となりました。


生まれた子供には失った弟妹の名をつけてそれはもう大事に育てました。
長くなりましたがそれがきっかけとなり、嵐は鬼を見ると豹変するようになったのであります



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