世理(せり)。
世理は司の母で28代目当主です。
世理はその戦神の如き強さと強くなるために手段を選ばない手法や言動から一族に恐れられていました。
幼い頃から父である戒や母、魔由に手段を選ぶなという教えから当然交神も血の近い者とするのだと信じていました。

しかしそれに異を唱えたのが11ヶ月年上の色でした。
色は言います。「一度生まれてきた以上歩むべき道は自ら選ぶべきだと。」
幼い世理にとってそれは魔法の言葉でした。
やがて世理は色に惹かれていきます。
一方色には既に交神して出来た子、乙音がおり、11ヶ月も年の離れた世理に対し恋愛感情を持つことはありませんでした。
世理はそれをわかっていたので色に反発するようになりました。
そして自分の力故思い上がるようになりました。

ある日、色や周りの一族が止めるのも聴かず、
地獄に聳え立つ塔、修羅の塔へ一人で飛び込んでしまいます。一族達が追いついた頃にはすでに遅く、
世理は鬼に囲まれ深手を負っていました。
大将の鬼が世理に向かって攻撃をしかけてきたその時世理の前に色が立ちふさがり、
世理を護りました。その間に一族達が周りの鬼を一掃し、怒った世理が大将にトドメをさしました。

急いで色に回復術をかけましたが致命傷を負っていたため既に遅く―――。
色は世理に最後の魔法の言葉をかけます。

「世理…無事でよかった…。君を失うくらいなら…この命、惜しくはない…。どうか自由に…」と。


色は最後の最後で世理への気持ちに気づき、そういい残しました。
以後、世理は長かった髪をばっさり切り捨てより強さに執着するようになりました。
そして当主としての任を全うした後、太照天昼子様を越える奉納点の神として昇天しました。

結局は呪いを楽しむといいつつも呪いに最もとりつかれていたのは彼女かもしれません。





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