二人目の氏神様で氷馬(ひょうま)

母は自分を憎んでいる、自分はいらない子供なんじゃないのか?
だがそれでも自分に見せるあの優しかった笑顔が嘘だなんて思えないし思いたくない。
自分は確かに愛されている。

幼い頃氷馬はそんな想いを口に出すこともなくずっと悩んでいました。
しかしそれが淡い絵空事だったと氷馬は気がついてしまいます。
それから母、美朱の目と目を合わせることはなくなりました。
それから数ヶ月、氷馬に不幸が訪れます。
心の支えの一人であり父親の様な存在だった紫影が他界します。
そして落胆する氷馬に追い討ちをかけるように母、美朱が錯乱するようになります。
美朱は氷馬の中に鬼を見るようになります。
いつもの様に氷馬を罵倒しては我に返りこういいます。

「氷馬、私を殺して。」

それは日に日に激しくなり、ついに自殺しようとします。

こんな母はもう見たくない。
母にとって紫影様がこの世の全てなら今の母に何が残っているというのか…。

氷馬はそう思うようになります。
そしてある日、自分を殺せと懇願する母を氷馬は殺してしまいます。
美朱は最期の力を振り絞り氷馬に当主の指輪を托し亡くなります。

「みんな、ありがとう…氷馬、やっぱりお前は優しい子ね…。だから……き…。」


お話はもう少し続きがあるのですがこの辺で。
イラストは氷馬が氏神様になった後の姿です。





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